VMware系エンジニアがAWSについて学習してみた(2)【クラウドプラクティショナー 勉強方法/試験対策/受験レポート/感想編】
本編では、VMware系エンジニアである私が、AWS認定クラウドプラクティショナーを実際に取得するに至った学習の流れをご紹介致します。
認定資格概要(形式/難易度/コツ)
左図はAWS認定の公式ページからの抜粋です。
試験形式はよくある単一選択または複数選択です。
日本語翻訳精度は◎、質問と回答選択肢もとてもわかり易く作られています。なお、全問題共に英語と日本語の切り替えが可能です。
金額についても他のベンダーと比べて良心的な金額設定だと感じます。
(大体2万円~5万円くらいする試験ばかりですから)
この辺りも、やはりAmazonのビジネスの根幹にある”Customer Obsession”をひしひしと感じます。
なお最新情報及び詳細については以下のリンクからご確認ください。
なお、難易度については”問題と選択肢がとてもわかりやすく作られているので回答し易い”と感じました。
これは技術的に簡単という意味合いではなく、ベンダー試験の中には”正解は選択肢Aにも見えるし、Bにも見える”のような受ける側からすると腑に落ちない問題があるなか、本試験ではそうした問題はありませんでした。曖昧さがない代わりに、知らないと回答が出来ないという点では小手先の知識では攻略は不可です。
私も教育部にいる人間としては、総合的に見てとても素晴らしいクオリティだなと感じた次第です。
学習に活用した教材
今回利用した教材は次の書籍です。
他にも書籍やオンライン上の資料がある中、本書を選択した理由は”レビュー評価が高かったから”です。
私はKindle用電子書籍を購入したのですが、電子書籍の場合はサンプルとして最初の数ページを閲覧出来ますが、レベル間としても自分にあっていると感じた、というのもポイントです。
上記以外の公式教材としては次のものも効果的です。
- AWS クラウドプラクティショナーの基礎知識 (第 2 版) 6時間のビデオラーニング
- AWS 認定クラウドプラクティショナー (CLF-C01) 試験ガイド
- AWS Certified Cloud Practitioner – Foundational (CLF-C01) Sample Exam Questions
- AWS Well-Architected
本試験受験に際し、前提として”知っておくべき知識”
本試験は完全にAWSのサービスを学ぶ上でのスタート科目であることは間違いありません。(本記事作成時点)
しかしながら、”IT完全未経験”の方に向いているかと言えばこれは”ちょっと待った”と言えます。
- IPアドレスとは何か?
- サブネットとは何か?
- DNS/名前解決とは何か?
- ファイアウォールとは何か?
- Well Known Portとは何か?
- サービスとは何か?
特にネットワークの箇所においては、サブネット計算やCIDR(サイダー)形式での表記への理解が出来る事が前提として各PDFや書籍は進行します。例えば次の2つについて理解出来るかどうかは1つの基準と言えます。
- 192.168.0.0/24という記載を見て、これが何を意味し、一体何個のIPアドレスをホストに割り振ることが出来るか。
- SSHとTelnetの違いを説明出来、かつそれぞれが利用するTCPポートの番号が何番で、その通信を許可拒否することが出来る。
本試験、科目に挑戦するに辺り、最低でもネットワークのこのレベルの知識は有していた方が間違いなく良いです。実際に公式試験ページ内のの推奨の知識にも”ITサービスのベーシックな知識”と記述はありますので、
また、各種機能を理解する上で、”どうしてその機能が必要なのか?”、”いつ便利なのか?”を意識する必要があります。これは実際に運用経験や操作経験がある方であれば、現場ならではのペインポイントを感じるはずです。
例えば、次のような経験があればどうしてAWS RDSやDynamo DBというサービスがオンプレミスよりも楽なのか、という事に共感出来るはずです。
”データベースを新たに構築しないといけないんだけど、まずはOSを何にするか。そして肝心のハードウェアを用意するのだけど、どれだけのCPU、メモリ、ディスクを用意する必要があるのか?”
”このデータベースのネットワークの冗長化とバックアップはどうするか”
ITインフラにおける苦労を持っている人ほど、”なるほど、このサービスはここで使えるな!”と覚えやすい事は間違いないです。
学習時間/期間について
学習スタートから受験までの期間は次の通りです。スタートから12日間で試験まで合格しています。ツイッター上で各タイミングでツイートをしていたのでちょっと履歴も追いつつ各段階で何をしていたかをコメントで追記していきたいと思います。
2019/06/28:試験学習スタート
VCIX-DCV取れたので、ご褒美にポチった。勉強中に”机の掃除”など、他のことをやりたくなった時は、いつも全く異なる科目の本を読むようにしています。
— Yamato@VCI & vExpert★★★ (@tw1tter_8010) 2019年6月28日
そうするとなんと2倍勉強出来るという驚きの効率の良さ。
https://t.co/wx0l50PzHl @さんから
この時はVCAP-DCV Deployに合格後で、テンションが上っていてノリと勢いで上記で紹介した教科書を購入しています(笑)正直1ヶ月以上はかかるだろうと思っておりました。
ただこの日から教科書を読み出しました。読書のタイミングは次の通りです。
- 電車通勤であるため、通勤移動中
- VMware NSX上位試験の学習の休憩時間
- 寝る直前
- 朝起きてすぐ
1つ1つの章や、それに含まれるサービスを1つの区切りとして、読み進めて行きました。
なお、私の場合はiPad Pro上にインストールしているKindleアプリで読書をしておりましたので、持ち運びもとても楽でした。
2019/07/04:教科書学習終了
一週間で流し読み完了😉#AWS クラウドプラクティショナーは、技術者以外の方も対象にした科目なのですが、技術的な点について想像よりも読み応えがあり楽しく読めました。
— Yamato@VCI & vExpert★★★ (@tw1tter_8010) 2019年7月4日
”技術者以外でも身につけておくべき最低限の技術”が詰め込まれているなぁ、と関心しました。https://t.co/uUahzuoCcE https://t.co/ULk8mEDEr7
教科書もテンポよく読める内容だったので想定よりも速く読破出来ました。内容が素晴らしかったというのはまず第1の理由です。あと試験を受け終えた後だから言えますが、練習問題の難易度は高いです。これが逆に本試験を優しく感じる理由となりました。
読書の速さは人それぞれですが、私の場合はvSphereやvSAN、NSXの事前知識があったので、AWSの特定サービスなどについては”これはVMwareのこのサービスと同じだな”など比較をしながら読めた事は、読書がしやすかった要因だと思います。例えばこんな感じです。
AWS上でのサービス名 | VMware製品やサービス名 |
EC2 インスタンス | vSphere ESXi上の仮想マシン |
EBS(Elastic Block Storage) | 上記仮想マシンに対するvmdk または RDM(Raw Device mapping) |
S3 |
該当サービスは無いが、オブジェクトストレージという点だけで見ると |
VPC |
VMware NSX |
Cloud Watch | vRealize Operations Managerによる環境監視は似ている印象 |
異論はあると思いますが、この退避を通じて改めてVMware製品の良さや特定の機能などを再認識する良いきっかけになりました。
学び方のポイント:
本書やAWSを学ぶ上では自身の経験と関連付けながら読む事が学びのショートカットになると言える
2019/07/08:模擬テスト受験
This is just practice exam result, but I could get over 90%.
— Yamato@VCI & vExpert★★★ (@tw1tter_8010) 2019年7月8日
取り敢えず模擬試験は安定の合格ライン到達、後は本番だなー😌https://t.co/d4gln8ZiOe pic.twitter.com/OufxNEL50L
教科書学習終了から3,4日が経過した後に模擬試験を受験しました。なお、この期間は再度教科書を1周し、加えてWeb上の他の受験経験者のブログを読み、実際の受験への準備を開始しました。
いざ模擬試験を受け終えると、上記のように92%という事、そんなに悪い点数ではなかったので、これなら行けるな、と思いこの直後本試験を予約しました。
なお模擬試験内では未学習のトピックが2つほど出てきたので、追加学習でいくつかのAWSサービスを学習しました。また模擬試験のおかげで、日本語訳の精度を確認することが出来ました、日本語訳の精度はこれまで経験してきた他のベンダー試験の中でも大変クオリティが高いと感じましたす。(Cisco/CompTIA/Dell Technologies//Juniper/Microsoft/LPIC/VMware)
学び方のポイント:
模擬テストを活用することで、画面操作感などを体感でき、安心して試験に望める
+α:試験合格後は次回利用可能な”模擬試験バウチャー”が発行されました。ですので次回のAWS認定試験対策でこれも利用可能です。
2019/07/09:本テスト受験
Passed my 1st @AWS_edu certification. I’m ready for multi-cloud environment.
— Yamato@VCI & vExpert★★★ (@tw1tter_8010) 2019年7月9日
Especially, I feel this learning will be useful for @vmwarecloudaws.https://t.co/qyvefJCQFd pic.twitter.com/HdKPUlSDj4
- 受験時間:試験時間は90分ありましたが、実際には15分ほどで試験を終えました。
合否判定は終了後すぐ出るもののスコアについては当日は発表がありませんでした(後日メール通知との事) - 問題難易度:教科書と比べると本番の方が優しく、この点は書籍に鍛えられたなと思います。
並べるとこのような順です。書籍>>本番>>模擬試験
問題の出題は単純に”EC2とは何でしょう?”のようなものではなく、ユーザーがデータベース及びOSを管理出来るインフラストラクチャを必要としています。次のうち最も適切なサービスはどれでしょうか?”のように、サービスごとのユースケースを理解していることが前提の試験です。
2019/07/10:スコア発表
スコアは通常5営業日後の発表というアナウンスはありつつも、実際には翌日(もっと言えば当日深夜)にはCertMetricsのページ上に掲示されていました。メール通知がない状態でも掲示されたスコアは閲覧出来ていました。
スコアは860点、高いか低いかは置いておいて、短期間及びAWS初心者としてはそんなに悪くはないかな?とは思いました。
多分ですが”請求と料金”以外は満点だったと思います。ここだけは会計用語なども出てきてちょっとわからなかったです。
付録:参考にした非公式情報
先人の体験、経験から学べることも多いです。次のブログも参考にしてみました。
また、Kindle提供の次の書籍も利用しました。あくまでも練習問題として活用するのに
(タイトル的に守秘義務大丈夫?と思いましたが安心してください。この内容の通りに出題された問題はありませんでした)
なお、本書はkindle unlimitedで体験でも一読可能ですので、興味があればご利用ください。
まとめ
AWS認定クラウドプラクティショナーの学習方法の私なりのまとめです。
- AWS EC2とS3だけを知っているユーザーでも2週間未満で取得可能な試験である
- ご自身の得意な製品がある方はその経験が生きます
(VMwareやAzureなど他の仮想化やクラウド関連製品) - ネットワークに関する知識は前提として必須(OSI参照モデル/IPアドレス/ファイアウォールなど)
- 多くのサービスがありますので、1つの学習時間を、サービス単位で細切れにしてやると飽きが来ず楽しく学べます。
- 問題は、実際の利用者の立場として、どのサービスをどう使い分けるかという視点が重要
- 試験対応言語は英語/日本語あり、翻訳については心配無用
あとがき
無事にAWS クラウドプラクティショナーを取り終えた後ですが、模擬試験バウチャーや次回の試験代金が半額などの特典を受け取ると、”AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト”も気になります。
しかし今後特に自分の業務としてネイティブなAWSを触ることも、今の所は無いだろうと思うので少し様子見しようかなと思います。もし自分の業務としてよりネイティブなAWSを知る必要が出てきた段階で、改めて本試験の受験を検討したいと思います。もし経験者の皆様の中で、”いやいや、この認定資格は是非持っていた方がいいよ!”という方がおられましたらTwitterでアドバイスを頂けると幸いです。
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