分散スイッチの仮想ポート バインドタイプの違い
今回は”分散スイッチ”内の設定における、”仮想ポート”の割当についての設定値の違いに注目します。
設定画面の確認
まず本設定値は以下の図内にあります。この画面は”分散スイッチ”に対して新規で仮想マシンポートグループを作成する際のウィザードです。
各設定項目の紹介と特性紹介
- Static – 静的
- Dynamic – 動的(vSphere Client HTML5では、この項目は廃止されています)
- Ephemeral – 短期
この設定値は、仮想マシンのNICが、仮想スイッチに接続される際に、”いつ”、”誰が”接続する、または接続を解除するかの違いとなります。
※なお、vSphere 5.0から”動的”については廃止という扱いになっており、それ以前のレガシーな環境のために本項目は残されている。こちらについては後述の参考ナレッジ上で解説があります。
つまり、一般的には”静的”または”短期”のどちらかを選ぶことになります。
静的では、vCenter Serverが仮想マシンのNICを仮想スイッチに結線するポートを決定します。
短期では、ESXiホストが仮想マシンのNICを仮想スイッチに結線するポートを決定します。
各項目の利用事例/Use case
どちらでも良いのでは、と思った方は、これは利用ケースで違いがあります。
”静的”は一般的なネットワーク設定時に利用をすることを想定したものとなります。
”短期”はvCenter Serverが停止してしまった状況で、仮想マシンを仮想スイッチに繋ぐケース、で役に立ちます。
つまり、”短期”は常用利用するものではなく、vCenter Serverの利用不可、という極めて限定的なケースに置いて利用するという点を抑えていただければOKです。なぜトラブル時にしか”短期”バインドを利用してはいけないか、というとこの理由は本番環境に対して重要な、スケーラビリティ、パフォーマンス、ログ追跡面において制限が発生するためです。
具体的に短期(Ephemeral)ポートバインドが必要となるケース
- vCenter Serverそのものが停止しているケース(例:起動不可、Kernel Panic)
- vCenter Server自体は起動しているが、GUIやCLIなどの制御インターフェースが利用不可のケース
- 上記のようなケースで、新規のvCenter Serverを再構築やバックアップからの復元をするケース(この場合、新しいvCenter Serverを仮想マシンで用意する事になりますが、その際仮想マシンとしてのvCenter Serverは、仮想スイッチに結線することとなります)
VMware Host Clientから、分散スイッチへの結線を行った際のエラー
これらの事を踏まえ、”短期バインド”のポートグループの重要性がわかったと思いますが、実際にVMware Host Clientから”静的バインド”のポートグループに接続を試みた所次のようなエラーが返されました。
ESXiホストが、分散スイッチに対して変更を要求するも、vCenterを経由しないオペレーションのため接続指定が出来ないという内容です。(図内の下から2行目の”Network Adapter 1″の”Management Network”は静的ポートバインドのポートグループです”)
参考ナレッジ
Why use Static Port Binding on VDS ?
https://blogs.vmware.com/vsphere/2012/05/why-use-static-port-binding-on-vds.html
Choosing a port binding type in ESX/ESXi (1022312)
https://kb.vmware.com/s/article/1022312
ESX/ESXi でのポート バインド タイプの選択 (1022312)
https://kb.vmware.com/s/article/1022312?lang=ja
vCSA on vSAN 構成でvDSのみでネットワークを組む際の注意事項(私の知人の記事)
https://kwmtlog.blogspot.com/2017/09/vcsa-on-vsan-vds.html
VCSAをバックアップからリストアできない!?場合の対処(私の知人の記事)
https://goo.gl/iwgoh2
まとめ
- 本バインド設定は、分散スイッチを利用したケースのみ考慮要である。つまり標準スイッチユーザーはこの記事内容を考慮する必要はない。
- 通常時には”静的バインド”を利用したポートグループに、仮想マシンを接続するのに利用をする。
- vCenter Server利用不可のケースで、仮想マシンのポートグループ結線変更を伴う場合は、”静的バインド”のポートグループに対しての接続は不可。
- 上記のvCenter利用不可ケースにて活躍するのが、”短期バインド”である。
- vCenter Server利用不可=vSphere Web ClientやvSphere Client HTML5が利用不可であるため、操作インターフェースはVMware Host Clientなどのホストベースのものになるが、その際に”静的バインド”のポートグループを接続先に指定するとエラーが発生してしまう。
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