- Announcing vSAN 7 – Summary(概要)
- はじめに(免責事項)
- vSAN 7の立ち位置
- vSphere Lifecycle Managerによるシンプルなクラスター更新
- File Services on vSAN
- モダンアプリケーションのための強化されたネイティブストレージ
- ストレッチクラスター構成におけるDRSアウェアネス機能
- vSAN ウィットネスホスト修復後の即時復旧
- ストレッチクラスターでのサイト間での容量不均衡に伴うIOリダイレクト
- vCenter UIから仮想マシンレベルでの正確な容量レポート
- 時間ベースでのメモリ利用率レポーティング機能
- vSAN 容量ビュー内でのvSphere Replicationオブジェクトの可視化
- より大容量のデバイスをサポート
- NVMeデバイスのホットプラグ
- vSAN環境上での共有ディスク作成時の制限の排除(Eager Zero)
- まとめ
Announcing vSAN 7 – Summary(概要)
はじめに(免責事項)
本記事はVMware Blogにて公開されましたvSAN 7の記事の英文版を日本語化かつダイジェストで提供しているものです。(また私のコメントも添えています。)
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— VMware vSAN (@vmwarevsan) March 10, 2020
vSphere 7リリース前ということもあり、本記事で取り扱う内容については今後のアップデートに伴い変更が生じる可能性があります。
本記事は、vSAN7の特徴をカジュアルにキャッチアップ頂くことを目的にしておりますので、コンプレックスな障害などについての調査などについては公式ドキュメントなどの最新情報を必ずご確認ください。
なお、当方の記事で取り扱う情報は公に発表されているもののみであり、リリース前ということもあり不確定な内容も取り扱いますので投降後の修正についてはご容赦ください。
vSAN 7の立ち位置
vSAN 7のテーマは、次の3つのようです。
- よりシンプルな管理
- ファイルサービス提供の開始(vSANは、ユニファイドストレージに進化)
- クラウドネイティブストレージ
vSphereの側面では、Project Pacificがあるためコンテナ環境向けの機能の拡充はもちろんですが、vSANをより多くの方に使ってもらえるように、管理性、監視性、多種多様なプロトコルとデバイスへの対応が今回の新バージョンでの追加ポイントだと言えます。
それでは早速それぞれの追加機能、強化ポイントを見ていきましょう。
vSphere Lifecycle Managerによるシンプルなクラスター更新
これまでvCenter Serverの機能として搭載されていた”vSphere Update Manager(通称VUM)”の後継として、”vSphere Lifecycle Manager(vLCM)”がリリースされます。
これを使うことで、ハイパーバイザーだけではなく、ハードウェアのドライバーやファームウェアも一括で更新、管理が可能となります。
この機能で期待される点は、やはり何といっても各互換性の調整だと言えるでしょう。当方はDell Technologies所属ということもありPowerEdgeサーバのファームウェア更新には通常iDRACという管理コントローラーを使うのですが、この機能との併用やすみ分けが気になるところです。
vSphere Lifecycle Manager Demonstration
動画内では、Dell EMC PowerEdge R640を使ったハードウェア更新のデモが行われています。
この機能はどうやら”OpenManage Integration for VMware vCenter Server”との連携を、vSphere Clientから行うようですね。どのベンダーであってもHardware Support Manager(HSM)の機能を提供してくれる要素の展開が必須との説明があります。
OpenManage Integration for VMware vCenter | Dell
File Services on vSAN
vSAN 7からは、NFS v3とv4.1のファイル共有提供が出来るようです。
vSANでは標準的にはデータストアとしてのオブジェクトストレージに加え、vSAN 6.5から搭載されたiSCSIターゲット機能があります。
今回のこの機能追加を受けて、vSANはとうとうユニファイドストレージになったと言えます。
NASを展開するのに専用ハードウェアを別途購入すると、その分CapExやOpExも増えますが、vSAN上にそのままNAS領域を構成できるのはシンプルでよいですね。
Cloud Native Storage and vSAN File Services Integration
コンテナ用ボリュームの構成とvSAN上でのNFS構成のデモ動画です。
モダンアプリケーションのための強化されたネイティブストレージ
vSAN 7はクラウドネイティブストレージというのがテーマの1つに含まれています。Project PacificにあるようにvSphereは今後コンテナもホストをしますし、それ以外にも新機能としてのNASなどにも対応します。
あらゆるワークロードに対して、vSANのみで容量を提供出来るというのは、投資面、管理運用面でもシンプルで分かりやすいと言えます。
一方で課題となるのは設計や容量計画、また既存環境をアップグレードして本機能を利用する場合は環境の最適化をどのように行うか、であると言えます。
ストレッチクラスター構成におけるDRSアウェアネス機能
物理的に離れた拠点間で構成するvSANクラスターで、単一サイトで障害が起きたとします。
上図ではサイトダウンを受けて、vSphere HAの機能により仮想マシンがすべて左側のサイトにフェイルオーバーしています。
サイト障害復帰後、データの同期がサイト間で実行されます。(障害発生サイトに対して、差分データを送信)
なお、データの同期の間は、すべての仮想マシンはフェイルオーバーした際上で保護されたままです。
vSAN 7では、データ同期の完了後にDRS(Distributed Resource Scheduler)の機能に基づいて、速やかに仮想マシンをvMotionで再配置します。
これにより、管理者は障害発生後の仮想マシンのフェイルバックを手動で行う必要がありません。
また、仮想マシンの再配置が行われないままですと、サイト間接続を使ってストレッチクラスター上の全仮想マシンのIOがサイト間通信網(ISL)に多くリクエストを出してしまい、輻輳が起きる可能性があります。
vSAN 7ではこうした事態が起きないようにストレッチクラスターの障害復帰後の処理を自動化することでより利便性が向上しています。
vSAN ウィットネスホスト修復後の即時復旧
vSAN 7では、ストレッチクラスターと2 ノード vSANにおいてウィットネスホスト障害後の再同期ロジックを改良しました。
下図では正常な2ノード ストレッチクラスター環境が記されています。この環境で中央にある”vSAN Witness”に問題が生じて、Witnessホストの再導入またはリプレイスが必要になったとします。
下図では、vSAN Witnessを新しいものに変更をした後です。図内でも”CHANGE”というボタンがハイライトになっていますので、操作そのものはこれまで存在していた”監視ホストの変更”から行うものだと思われます。
なお上記で紹介している”CHANGE”ボタンのメニューはvSAN 6.6で登場しています。
ストレッチクラスターでのサイト間での容量不均衡に伴うIOリダイレクト
vCenter UIから仮想マシンレベルでの正確な容量レポート
従来のvCenterが持つ仮想マシンごとの容量表示機能は、これまでのSANストレージを中心としたデザインでした。vSAN 7が搭載されたことを受けて、これまでのビューに加えてvSANに特化した表示形式を搭載し、利用者はより正確にインフラの状況をモニターできるようになります。
原文では上記のような記述ですが、これは早く実物の管理画面を確認したいところです。
最近ではバージョンが上がるごとにvRealize Operations Managerのように詳細なデータもvSphereだけで確認が出来るようになってきています。
時間ベースでのメモリ利用率レポーティング機能
ストレージ容量だけではなく、メモリもまたインフラでは重要なリソースの一つです。
環境の変化が与えるワークロードの変化に応じ、メモリの消費量も刻々と変化をします。
時間ベースでの新しいメモリ消費量のメトリックスレポート機能では、ハードウェアやソフトウェアの設定変更に伴い、何がどのようにメモリを利用したかという相関関係を分析しやすくなります。例えばディスクグループの構成や特定のサービスの有効か、無効化に伴いメモリのオーバーヘッドが変更することは有名です。
この新しいメモリ消費率確認ビューにより、ホストレベルでのメモリの使用状況の把握がよりシンプルになり、今後のインフラの拡張プランも立てやすくなると言えます。
vSAN 容量ビュー内でのvSphere Replicationオブジェクトの可視化
これまでも長きにわたり、vSphere ReplicationはvSANとの相互利用が可能でした。
これは、レプリケーションデータの保存先としてvSANデータストアを指定可能という意味合いですが、この際に保存したデータ(正確にはオブジェクトとして保存されているデータ)がどのようなポリシーで、どれくらいの容量を消費しているかというのが可視化されたとのこと。
より大容量のデバイスをサポート
時代の移り変わりと共に、ハードウェアの性能は向上し続けています。これはストレージデバイスの容量についても同様のことが言えます。vSAN 7では上図に示すようにこれまで以上に大容量、高密度のデバイスをディスクグループのキャパシティ層に搭載することが可能となりました。
この構成の上限変更については追加のライセンス費用なくvSAN 7から利用が可能です。
vSANには”重複排除と圧縮”機能が存在しますが、ディスクグループ内部で容量が増えるということは、それだけ本機能によるデータサイズの削減が期待できます。
NVMeデバイスのホットプラグ
vSAN 7よりNVMeドライブのホットプラグをサポートします。
これに伴い、よりホスト停止や再起動の回数を減らせますので、システムの可用性を向上させることが出来ます。またメンテナンスに対する工数を削減出来ますので、特にオールフラッシュモデルのvSANを採用するための閾値が下がったと言えます。
vSAN環境上での共有ディスク作成時の制限の排除(Eager Zero)
“Oracle RAC on vSAN”に代表されるような、vSAN上でアプリケーションレベルのクラスタリングを組む環境では、必ずその共有ディスクに対してシックプロビジョニング形式での容量設定が必要でした。
vSAN 7からはこの制限が排除されまして、より構成時の作業がシンプルになります。
vSphere 6.x vSAN データストアでの Oracle RAC の使用 (2121181)
まとめ
以上がvSAN 7の新機能です。(vSAN 6,7との比較)
本資料内の画像ですが、こちらの動画からの抜粋となります。
純粋な新機能の追加という点では”ファイルサーバー機能”と”クラウドネイティブストレージ”ですね。
それ以外で言えばvSAN環境のモニタリング機能の向上(ディスク容量、メモリ利用状況)、製品ライフサイクル管理のシンプル化(vSphere Lifecycle Manager)、大容量デバイスのサポート、ストレッチクラスター環境の最適化などの、これまでの機能をより便利にしているイメージがあります。
vSANが世の中に出たのは2013年頃だったともいますが、既にもう7年ほどが経過していますね。
これまでいろんな問い合わせ、案件などを見てきましたが、時代の変化に応じてvSANがそれを追随している様子が浦東に面白いですね。
製品のGeneral Availabilityはもう少し先ですが、情報開示からわずか1日でこれだけ情報をまとめられてよかったなと思います。私も今年からvSAN 7.0 Deploy & Manageの提供を始めていくと思います。またそれに合わせてvSAN 7の記事も投稿していきますので、読者の皆様、引き続きどうぞよろしくお願いい致します。
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