過去の記事の続編記事です。特に今回はのような記事はvSphere入門者向けの記事だと言えます。
以下の記事と本記事をセットで読んで頂ければ、vSphereが提供する”冗長性のためのクラスター”についての基本的な理解が出来ます。
vSphereビギナーに多い疑問は”vSphere HAとvSphere FT”の違いがよくわからない、と言うものです。
- vSphere HAは、ホスト停止などにより仮想マシンが停止する場合は、別の正常なホスト上に仮想マシンを再起動によってサービス継続を維持します。
つまり、仮想マシンが再起動している間は、サービス提供が停止します。
この機能のコンセプトは”自動化されたフェイルオーバー”です。 - vSphere FTは、RAID1のように二重化された仮想マシンを保持し、片方がダウンした場合、シームレスにセカンダリ仮想マシンがサービス提供を継続します。
この機能のコンセプトは”自動化されたフェイルオーバー+無停止フェイルオーバー”です。
つまり、フェイルオーバーにかかるダウンタイム時間の差が違いです。
これだけを見てみれば、”vSphere FT”の方がフェイルオーバーについては優秀です。
では、vSphere FTの特徴を前項のvSphere HAのように並べてみます。
vSphere FTの特徴
- 二重化された仮想マシンを保持しており、仮想マシンの停止に対し、シームレスなフェイルオーバーを提供する
- メリットは、無停止のフェイルオーバーのためサービス提供を起こさず自動化されたフェイルオーバーを提供する
- 仕組みとしてはRAID1のようなもので、2つの物理ホスト上に同じ仮想マシンを動作させ、片方をプライマリ仮想マシン、もう1台をセカンダリ仮想マシンと呼び、プライマリがセカンダリに同期データを常時送信している
- 保護出来る仮想マシンのサイズには、機能性質上制限がある
FTの構成に必要なものは次の通りです
- vCenter Serverは必要
- ESXiホスト(2~64台)
- vSphere HAが有効になっていること
- ESXiのライセンスはStandard以上
但し、ライセンスのエディションによりFTで保護出来る仮想マシンのvCPU数が決まります。StandardまたはEnterpriseの場合はvCPU2個、Enterprise Plusの場合はvCPU4個の仮想マシンをFTで保護可能です。 - FT保護される仮想マシンのメモリ容量:64GB(構成の上限より抜粋)
- HAクラスターノード間での通信用のvmkernel portが最低1つ(各ホストごとに)、且つ速度は10Gbpsを専用で使うことが望ましい
- 共有データストア(仮想マシン保存領域、HAクラスターノードからアクセスが可能であること)
まだもう少し細かい話もありますが、今回はここまでとしておきます。
本記事のまとめとしましては、次の通りです。
まとめ:vSphere FTはHAと比べ、シームレスなフェイルオーバーが魅力であるが、
構成をする上では、仮想マシンはvCPU4個まで、64GBまでの構成上限がある。
またホストに対しても10Gbpsのネットワークを専用で準備することが推奨。
保護対象がユーザーによっては収まらない場合はvSphere HAを利用するか、サードパーティーのクラスターソリューションが必要になると言えますね。
本記事寄稿時に参考にした情報ソース
- 構成の上限(vSphere 6.5 Update 1) – URL
- Fault Tolerance の要件、制限、およびライセンス
- FAQ:VMware Fault Tolerance (2148898)
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