ご自宅仮想化ラボはじめました。【Part01. 物理ホスト構成】

VMware

ご自宅仮想化ラボはじめました。【Part01. 物理ホスト構成】

今回、家庭内に小規模ながら自己学習のための小規模ラボを構成する運びとなりましたので、いくつかの記事を用いて環境について触れたいと思います。

免責事項

まず今回の一連のシリーズで取り扱う環境は、ビジネスで利用する本番環境レベルのものは想定しません。
あくまでも一個人が宅内で自己学習をいつでも取り組めるようにするための基盤作成が目的です。
また一個人での利用であっても動作保証をするものでもありませんので、同じものを用意したのに上手くいかない、動かないという点についても動作保証致しかねますのでご容赦願います。

とは言いつつも、当方も試行錯誤の末行きついた構成です。ここに行きつくにあたり、出会った失敗談にも触れていき、一人でも多くの方のご家庭仮想基盤の構築に貢献したいと思います。どうか暖かく見守って頂けますと幸いです。

想定読者

  • 自宅に仮想化基盤を持ちたいが、何から準備をすればいいかわからない人
  • 自分はラボ環境を持っているが、他の人はどんな構成にしているか気になる人
  • 自宅ラボていくらぐらいの費用で持てるのか気になる人

環境概要

当方のラボ環境では、VMware vSphereを中心とした仮想基盤を構築します。
選定理由は単純で、私がVMware製品を主に業務で取り扱うからです。

基本的には技術インストラクターであり、使う側に立つことが殆ど有りません。
自らが運用者になることで見えてくることもあると思い、今回の設置に至ります。

今回は2台のESXiホスト構成を準備しましたが、2つのパターンでの運用を検討しています。

  1. 1筐体をサイトA、サイトBのように分けて、Site Recovery Managerで切り替える疑似DR構成
  2. 将来的にRaspberry Piを1台購入して、ご自宅2ノードvSAN構成(Raspberry PiでWitnessホストを運用する)

特に当方は将来的にVMware認定資格の中の最高レベルであるVCDX-DCVを目指したいと考えてます。

その為にはある程度の規模感を想定した環境への慣れも必要です。VMware HOLもありますが、ここ数年触ってきて、複数のvCenter Server構成や、Update Managerなどを利用した環境運用面のラボが登場してきませんので、このあたりをカバーすることをホームラボのコンセプトに考えています。

実際にまだ構成は始まったばかりですので今後構成は変わる予定はあります。

基盤に求める要件はなんだったか?

ビジネスにおいては要件をがっちり決めて、後からの変更をするというのはご法度、ではありますが今回は個人レベルの話ですから割とカジュアルに考えました。

  • ホスト台数
    最低1ホスト、できれば2ホスト、でも3ノードvSANもいいよね。
    という1-3台のホスト構成を考えました。
  • メモリ
    1ホストで64GBは譲れませんでした。仮想マシン台数を増やすにはメモリは多い方が絶対良いです。
  • 扱いたいソリューション
    • vCenter Server 1-2台
    • VMware NSX-T
    • vSphere Replication
    • Site Recovery Manager
    • Dell EMC Unity VSA
    • Dell EMC Avamar

当方は業務用のノートパソコンに32GBのメモリを特別に搭載してもらって、上記のいくつかを運用したのですが、スペースが小さなノートパソコンでは常々排熱に悩まされ、かつVMware WorkstationではDell EMC関連のアプライアンスはエラー多発(非サポート構成のため)でしたので、ESXiが動かせる環境が必要になりました。そしてとうとうであったのが次の製品でした。メモリ64GB搭載可能なデスクトップ製品…

物理的に用意したもの

OptiPlex 7050

VMware vSphere ESXiホスト用に2台準備しました。
(下段は、USBメモリスティックにESXiが入っていますが、既にM.2 SSDに移行済み)

まず先んじてお話しておくと、これはサポート外構成です。どのようにサポート外かというと、”VMware Compatibility Guide“に掲載が無いという事です。

これではそもそもが動作するかどうかは運試しです。私の場合はこの機器は海外のエンジニアの個人ブログでOptiPlexを使用している例があったので、多分行けるだろうというノリと勢いで機材購入に踏み切りました。
(まぁ使えなかったらWindows 10で使ってマイクラでもやろうかなとか思ってたんですけど、使えたのでこの企画が継続しています)

きっとこの機材選定はマイナーな部類だと思いますので、今回この機材選定に至ったいくつかの理由をご紹介致します。

理由1. 低コスト(1筐体当たり57,000円/Core i7, DDR4 64GB)

現在ご自宅ESXi環境と言えば”Intel NUC”がトレンドだと思います。Intel NUC Kit – Intel

ITガジェット好きな方なら一度はネット上の記事などでご覧になられた事がある人もいると思います。

また、新興のベンダーからも同様のミニPC製品が販売されだしています。
サイズはミニですが価格はガチです。


ここで挙げた製品は、いずれも私が選択したOptiPlexのCPUとメモリの仕様に近いものを掲載しています。
当方が選択したOptiPlexの仕様を一部抜粋したものがこちらです(全詳細についてはこちらを参照)

項目 コメント
CPU インテル® Core™ i7-6700 プロセッサー(クロック数 3.4GHz/コア数4)
メモリ DDR4-1866/2133, DDR3L-1333/1600 最大64GB搭載
ストレージ

3.5インチまたは2.5インチドライブを1本

M.2 端子が1つ

PCIスロット ハーフハイトで2枚まで搭載可能

今回1筐体当たりを中古価格で30,000円から32,000円で入手しています。これにはメモリとM.2は含みません。

メモリはこちらの製品を選びました、選定基準はコスパで見ています。(4セット購入で52,400円)

ESXiのブートデバイスにはM.2 SSDの製品を選びました、選定基準はコスパと一定の耐久性です。(偶々1台は初期搭載でM.2 SSDがありましたので1枚のみ購入)


なお、上記以外にももう少し低価格で同容量のものもありましたが、以下のURLの耐久値の観点から”ESXi起動デバイス”としての耐久を満たしており、”ESXi ログデバイス”としての耐久値も64TBWに近いものがこちらでしたのでこれを選択しました。
vSphere SSD とフラッシュ デバイスのサポート (2145210)

本製品のTBWは次の通りです。(Kingstone A400 SATA SSD M.2 フォームファクター)

40TBWなのでログデバイス用には推奨値に届いていませんが、まぁOptiPlex使ってる時点で推奨構成でもないし、まぁいいかという感じでコスト優先にしました、保証も3年あるようですし。

なお仮想マシン保存域用のHDD(VMFS用)は自宅にあった3.5インチドライブを使いましたのでこちらは新規投資してませんので0円です。(1TBが2本ありました、ラッキー)

1筐体当たりにかけた物理的な構成は57,000円なので単純計算で2台で110,000円ほどです。11万も結構高いですけど、Intel NUCで同一構成を組もうと思えばこの金額で1台しか組めないでしょう。

理由2. 拡張性

OptiPlexは本来法人用のデスクトップであり、筐体には一定の拡張性があります。
現状特定のカードを搭載する予定はないのですが、ビデオカードを搭載すればVDI環境検証にも使えるでしょう。ネットワークカードを搭載すればチーミング構成も可能です。


ミニPCと違い、拡張カードの搭載やM.2以外のドライブ搭載が出来る事は、筐体が一定のサイズを持つからこその特徴です。

理由3. 汎用性とメンテナンス性

一般的なデスクトップとフォームファクタであるため内部パーツも外部デバイスも数多く利用可能です。
最悪このラボ企画をどこかでやめることになっても、ハイパワーのWindows機として使ってもいいです。

また、Dellのコンピューターには内蔵の診断ツールもありますので障害判定も楽です。

パーツもDellのサポートから取り寄せれば交換もマニュアルに従えば可能です。
OptiPlex 7050 スモールフォームファクタ オーナーズマニュアル

DellのOptiPlexは9割ほどのパーツはツールレスでの付け外しが可能です。
IT部門を持つ企業を想定しているため、専用工具などもなく、一定のパソコン知識があれば一般の方でもパーツの付け外しもしやすいのでこのあたりは楽です。筐体内のブルーのパーツは、ツールレスでの作業が可能な箇所です。

理由4. 他者との差別化

当方が勤務しているのがDell Technologiesという事もあり、個人的にはこの活動を通じて”お、OptiPlexも一応ESXi動くんだな”と何かしらファン的なものができればと思っていたりします。

また、ブログを書く際のポリシーとしては、”ここに来ないと読めない”内容になるようにしたいという信条があります。今更Intel NUCでラボを構成しました、というネタを書いても二番煎じ感は否めません。

よくありそうな質問

NICのドライバーはどうしているのか?

ESXi on NUC界隈でよく話題となるのが、ネットワークカードのドライバー問題です。
NUC次第ではドライバーファイルをどこかしらで探してきたり、USB NICの準備が必要だったりします。

ホームラボ界隈の記事では、VMwareのWilliam Lam氏のブログは有名ですが以下のように最近Intel NUCでもInbox Driver対応がなされた状況です。
ESXi 7.0 Update 1 now includes NIC driver for Intel NUC 10 – virtuallyGhetto

正直申し上げて1台目のOptiPlex 7050を購入した時点で、この手の苦労はだろうなと一定の覚悟をしてESXiをインストールしたのですが、これがなんとインストール直後からNICを認識していました。これは計算外にうれしかったです。Inbox Driverのままでも今の所不都合もありませんので特に差し替えは行っていません。

vSphereのライセンスはどうしているのか?

私はvExpertという事もあり、vExpert専用の検証ライセンスを保有しています。
もしこの記事をお読みの方で、”ライセンスが無くて困っている”という方は、次の方法である程度のライセンスが利用可能となります。

  1. vExpertになる
  2. VMUG Advantageを利用する。(年間 200USD)

前者の場合は、VMwareのビジネスを促進するために、SNSやブログなどで製品の魅力や使い方を紹介したり、イベント登壇をするなどの実績が必要であり、それをVMware社が年に2回募集するvExpert募集タイミングでサブミットする必要があります。年間活動に対しての認定ですので、これからvExpertを目指す方は少し時間がかかるでしょう。なお、vExpertになることで利用可能なライセンスは次のようなものがあります。

後者の場合は、VMUG Advantage会員になることで1年間VMware製品のライセンス利用権を得られるというものです。最新の詳細情報は上記リンクからページにアクセス後ご確認ください。 また利用可能なライセンスの範囲はvExpertよりも多いそうです。

インストールメディアはどうしているのか?

これはベンダーのカスタマイズisoではなく、VMware純正メディアを使用します。
特にDellのカスタマイズisoはPowerEdgeサーバ用のデバイスドライバ類を含んでいるものであり、本構成には不要です。

実際最初はDellのカスタマイズisoを使用して、その結果インストール完了後の再起動で、フリーズが発生してしまい焦りました。何度再インストールをしても、カーネルやモジュールのロード中にフリーズが発生しました。これはやらかしたかと思い、VMware社の純正isoを使用した所正常にインストール、ESXiの起動にこぎつけました。

ちなみに、メディアには無駄にそれっぽい印刷を施して管理しています。

非サポート構成だけどまったくエラーなどはないの?

現状一つ問題が起きています。1号機(ESXiの起動デバイスにUSBメモリスティックを使用している)では、起動時に6割くらいの確率でPSODが発生します。

この症状には次のKBがあります。 
ESXi fails to boot with the error: “Error Loading /s.v00 Fatal Error: 8 (Device Error)” (2008817)

根本原因内のいくつかが心当たりがあります。そもそも非サポート構成ですし、後はUSBメモリスティックからのブートです。

実際この構成に当たった際は、何度か再起動を繰り返すか、それでも改善が無い場合は気休め程度にESXiがインストールをされたUSBメモリスティックを抜き差しすると改善します。現在2号機はM.2 SSD運用ですがそちらでは症状が見受けられませんので、後者が原因の可能性が高いです。

こんな風に、正規環境ではないものの試行錯誤で問題を解決していくあたりは、ホームラボの醍醐味だなと思います。日常では身に着けることが出来ないスキルと勘が得られます。

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