【VMware Hands on Labで検証シリーズ】vSAN HCI Meshを試す – 構成編

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【VMware Hands on Labで検証シリーズ】vSAN HCI Meshを試す – 構成編

vSAN HCI Meshとは

vSAN クラスタが持つ”vSAN データストア領域”を他のvSphere環境に対してマウントする機能です。

  • vSAN 7 Update 1から登場した機能
    • vSAN クラスタが、別のvSAN クラスタにvSAN データストアをマウント出来る機能
  • vSAN 7 Update 2からは、マウント先対象がvSANクラスタでなくてもよい
  • vSAN Enterprie ライセンスが(Server Cluster側に)必要
    • vSAN データストアを提供する側のことを”Server Cluster”と呼ぶ、
    • vSAN データストアを消費する側のことを”Client Cluster”と呼ぶ

HCI Mesh機能については構成上限、考慮事項、併用可能機能は決まっているため、VMware Docsなどを参照しましょう。HCI メッシュとのリモート データストアの共有 – VMware Docs

使用する環境について

今回は、VMware社提供のHands on Labを使用して障害テストを実施します。

使用するラボは”VMware vSAN Getting Started(HOL-2208-01-HCI)″です。(直リンクはこちら

※VMware Hands on Labの提供ラボやラボコードは、年単位或いは不定期に変更されます。ブログ閲覧時に上図と一致するものが無い場合は、お手数ですが近いラボ環境をご確認ください。

VMware Hands on Labを使用した事が無い方は、以下のリンクを参照頂ければ使い方が分かります。

lab8010.com

なお、本ガイドでご紹介する操作手順や登場する構成要素などはVMware Hands on Lab内独自の呼称、名称のホスト名、仮想マシン名、仮想ネットワーク名です。ユーザー様の独自環境で類似の操作テストを行う場合は、適宜ユーザー様環境側の環境にあった要素に読み替えて操作を実施ください。

関連する外部情報(KB, ブログ など)

タイトルとリンク 内容
HCI メッシュとのリモート データストアの共有 – VMware Docs
公式ドキュメント
VMware vSAN HCI Mesh – The Cloud Platform Tech Zone HCI Meshの概要、構成ステップ、管理など画面を用いた解説
Prepare for vSAN HCI mesh topology – Planning Guide Dell VxRail Network Planning
Dell VxRailとしてのHCI Mesh使用時の構成関連の情報
vSAN HCI Mesh Considerations – YELLOW-BRICKS.com Dungan氏によるHCI Meshの考慮事項紹介
vSphere HA configuration for HCI Mesh! – YELLOW-BRICKS.com HCI Mesh環境を共有ストレージとした場合のvSphere HA構成について

検証作業

下準備

環境の確認を行いましょう。

VMware HOLレンタル直後のvSphere Clientでのホスト構成は次のような状況です。

  • 計8台のESXiホストが登録されている。(各ホスト名番号で以降は呼称する。esx-01a.corp.localは1号機)
    • うち、1号機から3号機でvSAN兼DRSクラスタが構成済み
    • 4号機から8号機は未使用。これらを使用して2つ目のvSANクラスタを構成する。

2つ目のvSAN クラスタの展開

vSAN通信用のvmkernel アダプタを作成する

まず2つ目のクラスタに使用するESXiホストに対して、”vSAN通信用のvmkernel アダプタ”を作成します

下図は、既存クラスタ内のノード(上)と新規クラスタに組み込むノード(下)の比較です。

1号機には、vmk3としてvSAN用の通信IPアドレスが設定されています。(192.168.130.51/24)
第4オクテットのアドレス末尾がホストの番号と一致するようにIPアドレスが付帯されています。

4号機には、vSANクラスタを構成するためvmk3を作成します。(192.168.130.54/24を割り当てる)

作成手順は次の通りです。

  1. “Add Networking”メニューを実行し、”Select an existing network”にて、vSAN通信用のポートグループを選択します。
  2. Enabled Servicesの項目にて”vSAN”にチェックを入れます。
  3. ”Use static IPv4″を指定し、vSAN通信用のIPアドレスを入力します。
    この作業は、2つ目のvSANクラスタに参加する他のESXiホストにも実施します。
    勿論この際、各ホストは一意のIPアドレスを付帯するようにしましょう。

  4. 本検証では4号機から7号機までを2つ目のvSANクラスタノードとするため、次のアドレスを使用しました。
    ホスト名 vSAN用アドレス
    esx-04a.corp.local 192.168.130.54/24
    esx-05a.corp.local 192.168.130.55/24
    esx-06a.corp.local 192.168.130.56/24
    esx-07a.corp.local 192.168.130.57/24
    こちらの図では、分散スイッチのポートグループのトポロジー図です。vSANクラスタ2セット分の全ホストのアドレスが共通のポートグループに接続されました。
2つ目のvSANクラスタを作成する

vSANクラスタを構成する準備が整ましたのでクラスタを作成します。

  1. クラスタオブジェクトを作成します。
    下図では”HCI-Mesh-Server”という名前で作成しました。(操作手順はこちら)
    上記が完了したら、クラスタに参加するノード(本記事では4号機から7号機)を、
    本クラスタに追加します。(操作手順はこちら)


    なお、今後は2つのvSAN クラスタを分かりやすくするため、既存のvSANクラスタ名を”HCI-Mesh-Client”という名前に変更しています。(クラスタを右クリックすれば名前の変更メニューがあります)
  2. クラスタに対し、vSANの機能を有効化します。(実際上記の1つ目の手順でもこの作業は出来ます。)
  3. 上記作業後、4号機から7号機までのホストが、vSANノードとして相応しいかチェックされます。
    下図では、”2. Add hosts”の項目にて緑のチェックが付いていますが、これは当該項目に対して合格を示します。

    1項目だけ黄色の警告が表示されますが、これは本環境上では必ず発生するものです。無視ください。

    スクロールダウンを行うと、”CONFIGURE”があります。ここをクリックします。(画像中央下段)
  4. 本ページでは、”Configure networking settings later“にチェックを入れて、次へ進みます。
  5. Advanced Optionsでは、設定は変更せずそのまま次へ進みます。
  6. Claim Diskでは、設定は変更せずそのまま次へ進みます。
  7. vSAN Support Insightでは、設定は変更せずそのまま次へ進みます。
  8. Proxy settingsでは、設定を変更せずそのまま次へ進みます。
  9. Reviewでは、これまでの設定を最終確認します。以下の画面でFINISHで次に進みます。
  10. これで、2つ目のvSANクラスタが構成されました。(下図では4ノードのvSANクラスタ)

    なお、上図のように黄色の警告が2つ出ていますが、こちらもVMware Hands on Lab上では発生するものなので無視ください。

vSAN HCI Mesh機能の有効化

これにて2つのvSANクラスタが作成出来ました。あとは、1つ目のクラスタに対して、2つ目のクラスタのvSAN データストアを接続します。

  1. Client Clusterとなる側(リモートvSAN データストアをマウントする側)のConfigureタブをクリック後、下図下部の”Remote Datastores”をクリックします。
    現在は、クラスタ”HCI-Mesh-Client”も自分自身がvSAN データストアを持つため、そのデータストアが以下の一覧に表示されています。

    上図内の中央付近の”Mount Remote Datastore”からHCI Mesh機能によるデータストアマウントを行います。

  2. マウント対象として取り扱えるvSAN データストアが一覧に表示されます。
    ラジオボタンにてマウント対象を選択し、次へ進みます。
  3. 互換性チェックが自動的に実行されます。修正すべき点や非互換環境の場合は、エラーとなります。
    今回は全てパスなので、このままFinishに進みます。
  4. これで、HCI Mesh機能によるリモートvSAN データストアのマウントが完了しました。

以降は、このクラスタ”HCI-Mesh-Client”は、2つのデータストアを持つクラスタとして動作します。 
こちらの図は、上記構成をイメージしたものです。(左のクラスタは、黄緑のデータストアを使用します)

本機能の特徴

次の表に、HCI Meshの特徴をまとめてみました。

Is
(HCI Meshに該当すること)
Is not
(HCI Meshに該当しないこと)

vSAN データストアを、他のvSphere クラスタにマウント出来る
※vSAN 7 Update1時点では、
マウント先もvSANクラスタである必要がある

WindowsやLinuxホストにマウントは出来ない
※vSAN iSCSI ターゲット機能の場合は、vSAN データストア領域を切り出して、WindowsやLinuxホストに接続が可能

ホストにマウントするものはvSAN データストアであり、LUNではない。

ブロックストレージの場合、LUNに対するマルチパスポリシーが選択可能

vSAN データストアには、サイズ上限は無い
参考リンク – vSAN maximun size = 64TB?

VMFSの場合はサイズ上限は64TBである
vSAN通信用のvmkernel アダプタを構成すればよい(NICとIPアドレスが必要) FCやiSCSIのように、ストレージ通信用のアダプタやSAN構成(ゾーニングなど)の準備は不要

vSANストレージを外部ストレージとして活用可能
(データは筐体分散配置/64筐体まで参加可能/物理的にはx86サーバを使用)

殆どのストレージ製品は、ストレージコントローラーが特定筐体だったり、64台ものアレイシェルフを構成できない。
データストアであるため、仮想マシン、仮想マシンテンプレート、isoの保存が可能 vSAN データストアはブロックストレージでは無いので、HCI Mesh環境ではRDMは使用出来ない

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