Dell EMC PowerProtect DD VEのインストール方法、初期設定
今回宅内ラボ環境のデータバックアップを行う際に、Veeam社の”Backup & Replication”を使用していますが、バックアップデータの保存先としてDell EMC PowerProtect DDが使用できますので、今回宅内で仮想マシンとしてのDell EMC PowerProtect DDの実装をしてみましたので、その際の作業履歴を記事として残しておきたいと思います。
Dell EMC PowerProtect DDとは
本製品はDell Technologies社が提供をする、バックアップデータ保存向けの重複排除ストレージです。今回は当該製品が仮想アプライアンスとして提供されている”DDVE”を紹介します。
本製品(Data Domain)はもともと旧EMC社のポートフォリオでありますが、2009年に同社が買収をした会社名でもあります。(Data Domainは2001年から2009年に存在した会社です)
重複排除というとプライマリ ストレージやNASなどで利用される主要機能ですが、本ストレージはデータバックアップ保存に特化をしたストレージです。
Dell EMC Power Protect?DP? DD?
本筋の内容から少し外れますが、当社製品のブランド名や製品名について少し整理をしておきます。
複数の会社が統合されたり、製品数が多くなると少々各名称の位置づけをこちらに記載しておきます。
会社名 | ブランド名 | 製品名 | 対応する従来製品 |
Dell Technologies | Dell EMC | PowerProtect DP |
Integrated Data Protection Appliance |
Dell Technologies | Dell EMC | PowerProtect DD | Data Domain |
Dell EMC PowerProtect DP
DPの場合は、以下の図のように1台のDell EMC PowerEdge上に複数台の仮想マシンが展開されており、vCenter Server/Dell EMC Avamarやそれに関連する仮想マシンが複数展開されている製品です。
つまりデータ保護製品のオールインワンアプライアンスです。
Dell EMC PowerProtect DD
こちらは名前の末尾にDDとあるように、これまでData Domainという名称で親しまれてきた製品をPowerProtectという新しいデータ保護ソリューションに再定義したものです。
製品自体は従来のData Domainです。製品のスペックシートはこちらを参照ください。
なお、物理アプライアンス製品と仮想アプライアンスベースの2種類の展開方法があります。
今回は仮想アプライアンスベースのものを題材としています。
以下の図は、Data Domain ファミリーを示したものです。(2019年のカタログからの引用のため、本記事投稿時点ではより新しい製品も出ています)
どうして自宅でData Domainを使用するのか?
今回宅内で実装をするのは、上図内での”DDVE”と書かれているものです。
上記記述に従えば、”保存容量1TBごとにライセンスが必要”とありますが、商用を除く0.5TBまでならば無償での使用が可能です。(DDVEのZipフォルダ内にddve-vsphere-0.5tb-eval.licというライセンスファイルが存在する)
関連ページ:DataDomain VEの評価ライセンスについて – Dell Technologies コミュニティ
宅内バックアップという点で、上述しているようにVeeam Backup & Replicationだけでもバックアップと復元は可能でしたが、自分のスキルアップも兼ねてData Domainの併用を考えました。
特に以下のカタログ内のPoint 2に記述がある”DD Boost”という機能は、主要なデータバックアップソフトウェアとの連携することで、データ保存量の節約が叶います。
宅内でのラボ環境というのは予算との闘いです。なるべくお財布にやさしい運用が出来るように自宅ラボ運用者の方に向けてこの記事を紹介したいと思ったのがきっかけです。
引用元:Dell Technologies Dell EMC エンタープライズ総合カタログガイド
なお、カタログの発行が2018年という事もあり、この頃はまだ旧Dellと旧EMC(この時点ではDell EMC)が別法人だったので、カタログ内での法人名称はDell EMCです。
入手方法
仮想アプライアンスについては、Dell TechnologiesのWebサイトからダウンロードを行います。
ダウンロードのためには当社サポートサイトのアカウントが必要であり、ダウンロードの際にはデル・テクノロジーとのサポート契約が必要か、あるいはリクエストフォームからのご相談が必要です。
権限を持つアカウントでログインをしている場合、ダウンロードページでは次のようにサイトが表示されます。(適切な権限が付帯されていない場合は、下図のようにダウンロードするためのアイテム名が表示されません。)
ダウンロード可能なファイルは、PDFファイルであり、その中には仮想マシンファイルの利用のためのEULAなどの記載があります。複数ページで構成されており、最終ページに同意ボタンがあります。
PDFファイル内に書かれた内容に同意する場合は、”I Accept”をクリックします。
I Acceptクリック後、PowerProtect DD仮想マシンのダウンロードリンクのファイルが開きます。
本仮想マシンは複数のプラットフォームでサポートされているためリンクが複数存在します。
今回は、一番下にあるVMware vSphere用のファイルをダウンロードします。
ダウンロード直後の圧縮フォルダは以下の通りです。
基本的にはOVAファイルを既存のインフラストラクチャにインポートをすればOKです。
インストール方法
次にOVAのインポートについてです。OVAとはファイルとして可搬可能な仮想マシンのイメージです。
- vSphere Client上でOVAのインポートを開始します。
- インポートするPowerProtect DD仮想マシンの名前を付けます。
- PowerProtect DD仮想マシンをホストするクラスタまたはホストを選択します。
- OVAが持つパラメータ確認画面の内容を一読します。
OVA形式を使用した仮想アプライアンスの配布は、多くのサプライヤが使用しています。
基本的には供給元のベンダー名だったり、アプライアンスに関する初期構成などが参照できる画面となっています。今回は特に設定などはありませんので次へ進みます。
- 展開する仮想マシンのサイズを選択します。
今回はホームラボでの使用のため、最小構成を選択します。PowerProtect DDVEは商用利用も可能です。その場合は必要に応じてサイズをここで選択します。 - PowerProtect DD仮想マシンをホストするデータストアを選択します。
- PowerProtect DD仮想マシンを接続するネットワーク ポートグループを選択します。
- 入力してきた内容の最終確認を行います。間違いがないことを確認して、完了をクリックします。
- PowerProtect DD仮想マシンが展開されました。あとはパワーオンをすれば使用開始出来ます。
- PowerProtect DD仮想マシンがパワーオン完了した様子です。
初期ユーザー名とパスワードは sysadmin / changeme - 上記初期ユーザー名とパスワードでログイン後、PowerProtect DD仮想マシンにアサインされたIPアドレスがプロンプト上で表示されるので、それをメモしてからブラウザでWeb UIを起動します。
(上記画像は導入ガイドより引用)
初期設定
PowerProtect DDの初期設定では、次の項目について入力をします。
- ライセンス
- ネットワーク設定
他の項目も設定が可能ですが、後ほど行うので今回の記事では割愛します。
- 上記のPowerProtect DDVEのCLIログイン時に確認をしたIPアドレスをGoogle Chromeなどのブラウザに入力し、ログイン画面を表示します。初期ユーザー名とパスワードでログインを行うと、パスワードの変更要求が表示されますので、ここで初期パスワードを変更します。
- ログイン完了後、エンドユーザーライセンス承諾画面が表示されます。
内容確認後、承諾ボタンをクリックをして次の画面へ進みます。 - エンドユーザーライセンス承諾画面後、初期セットアップウィザードが自動的に開始されます。
最初にライセンスの設定を行う場合はYesをクリックします。
(今回はYesで進みます。あとで設定したい場合はNoをクリックをします。)
また、万が一間違えて”QUIT”で初期セットアップウィザードを閉じてしまった場合も、再度本画面を開くことは可能です。(セットアップを完了していないシステムで再ログインをするか、画面内のメンテナンス画面から起動します。) - ライセンスファイルのアップロードを行います。
今回は無償版として使用可能な容量は0.5TBです。Activeな容量として認識されていることが確認出来ました。次へをクリックして次の画面へ進みます。 - ネットワークの設定画面では、ホスト名やドメイン名、ゲートウェイなどの一般的なネットワーク設定を入力します。なお、ここで指定をするホスト名はDNSサーバに名前解決用レコードは事前に登録しておきましょう。
IPアドレスとサブネットを設定します。
DNSサーバの指定を行います。(DHCP経由での指定も可能ですが、今回は静的に指定します。)
ネットワーク設定の最終確認画面をチェックします。
今回はここまでの設定を行い、初期設定ウィザードを完了します。Submitをクリックします。 - 構成適用が実行されます。このプロセスの間にネットワーク設定が変更されますので、一時的に管理画面との接続が切れます。
- ネットワーク設定変更が変更されたため、接続が切れました。一度ブラウザを閉じ、上記で設定をしたIPアドレスまたはコンピューター名で再接続します。
- 初期セットアップが完了すると、ログイン直後の初期セットアップ画面は表示されなくなります。
なお、下図内の”Configure System”(ページ上部)から再度同じセットアップ画面を表示可能です。
ここまで最低限の設定が完了しました。
これ以降本ブログでは、Veeam Backup & Replicationとの連携のために必要な設定を別記事で紹介していきます。
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